一般財団法人 日本口腔保健協会

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おとなのお口の健康

日本人の平均寿命は、男性79.55歳、女性86.30歳(2010年厚生労働省)と世界のトップレベルです。長寿はすばらしいことですが、自立して生き生きとした人生を送るためには健康寿命が問題です。厚生労働省が算出した2010年の健康寿命は、男性70.42歳、女性73.62歳です。近年では、オーラルケアはお口の健康アップのためだけでなく、からだの健康を保つためにも重要であるとの報告が多く発表されています。
おとなのお口の健康では、からだの健康と、お口の健康の関連性などの情報を掲載しています。
10年後、20年後の皆さまの健康力アップのためにお役立てください。

おとなのむし歯の特徴

二次う蝕

一度治療した歯は、再びむし歯になりやすく、とくに神経を取った歯は、痛みを伴わないので気がつきにくいことが多いです。

隣接面う蝕

歯と歯の間はむし歯になりやすく、発見しにくいところです。

根面う蝕

歯肉が退縮して露出した歯の根は、むし歯になりやすいところです。

歯みがきレッスン

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歯周病はバイオフィルムによる感染症

バイオフィルムって何?

バイオフィルムとは、「細菌が集まってできたヌルヌルネバネバの塊」のことです。
身近な例では、家庭のお風呂のパイプや下水管の内側に見られるヌルヌルもバイオフィルムです。
歯と歯肉の境目についた汚れ(歯垢=細菌プラーク)が歯と歯肉の間に入り込み、バイオフィルムを作って強い毒素を出し、歯肉を攻撃します。

バイオフィルムが引き起こす歯周病の進行

歯周病は、歯肉や歯を支える骨などに炎症が起き、徐々に破壊されていく病気です。
歯と歯肉の境目に細菌が集まりバイオフィルムが形成されると、歯肉に炎症が起き歯周ポケットが形成されます。
ポケットの内部でバイオフルムが増殖すると、歯肉の炎症は拡大し、歯周ポケットがさらに深くなります。
最終的には、骨の吸収が始まり歯がグラグラして、歯を失うことになります。

歯とお口健康のチェック

歯みがきレッスン

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歯周病と全身の健康とのかかわり

近年、多くの調査から、歯周病が、全身の健康に深く関係していることがわかりました。
その中でも、とくに歯周病とメタボリックシンドローム、糖尿病、心臓病との関係について注目してみましょう。

メタボリックシンドロームとは?

内臓脂肪型肥満(りんご型肥満)に加え、高血糖、高血圧、脂質異常などの動脈硬化の危険因子が2つ以上重なり合った状態をいい、心筋梗塞をはじめ心臓病のリスクが10倍~30倍に高まります。

メタボリックシンドロームの判定基準

歯周病とメタボリックシンドロームとのかかわり

メタボリックシンドロームが進んでいる人ほど、歯周病のリスクが高まる

歯周病は、糖尿病や動脈硬化など、メタボリックシンドロームと関係のある病気とお互いに影響しあっていることがわかっています。
糖尿病や動脈硬化など、歯周病とメタボ関連の病気が、いくつも深くかかわりあっているだけにメタボと歯周病も相互に関係していると考えられています。
実際に、メタボの判定基準に当てはまる数が多いほど、歯周病のリスクが高まるという研究結果があります。

歯周病の予防は、メタボリックシンドロームを防ぐことと深く影響しあっています!
歯周病の予防とケアが大切です!

歯周病は糖尿病の合併症のひとつ!!

歯周病の重症化が糖尿病を悪化させる

糖尿病は、血液中のブドウ糖濃度が高い状態が続くことでからだ中の血管が傷つき、それによって末梢神経や腎臓、目の網膜など、さまざまな器官や臓器に異常が現れ、合併症を伴い死にいたる怖い病気ですが、近年、ますます増加しています。

歯周病治療で血糖値の改善も

歯周病が糖尿病を悪化させることから、歯周病を治療することでTNF-αが抑えられ、インスリンの働きが活発になり、血糖コントロールが改善されることになります。
実際に、糖尿病患者に歯周病治療を行ったところ、血液中のTNF-α濃度が減少し、血糖値の改善が認められたことが報告されています。

糖尿病予防の基本は「食事」と「運動」・そしてそれを支えるのが「歯の健康」

歯を失う原因の90%がむし歯と歯周病です。
とくに50歳代以降では、歯周病が悪化して歯を失うことが多く、高齢期の食生活に大きな支障をきたします。
自分の歯が少なくなると、あまりかまなくとも食べられる軟らかな食品を摂ることが多くなりますが、軟らかな食品にはブトウ糖やショ糖など、吸収の早い糖質が多く含まれるので、血糖値を急激に上げる危険があります。
一方、かみごたえのある食品には、食物繊維が多く、脂質や糖質の量は少なめで、ゆっくり吸収されるため、血糖値をあげる危険が少ないといわれています。

歯周病が心臓病のリスクを高めることも!!

歯周病になると、その原因となる細菌が血液中に入り、心臓などに感染をひきおこす場合があります。
心臓の内膜や弁膜に障害のある人にみられる細菌性心内膜炎は、そのほとんどが口の中にいる細菌ですので、予防には口の中を清潔に保つケアが不可欠です。
また、歯周病の原因菌が心臓をとりまく冠動脈に感染すると、毒素や炎症をひきおこす物質が血栓をおこしやすくし、動脈硬化を進行させると指摘されています。
血圧、コレステロール、中性脂肪が高めの人は、歯周病を予防し、心臓病のリスクを遠ざけたいものです。

~歯周病が動脈硬化を促進すると考えられています~

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よくかむことのメリット

肥満を予防

満腹感を得られるので、食べ過ぎの防止になります。
内臓脂肪を燃焼し、無理なくやせます。

唾液の分泌

大量の唾液が細菌を洗い流し、むし歯・歯周病を予防します。
消化酵素アミラーゼがでんぷんを分解し、消化吸収を助けます。
味覚が敏感になり、食べ物の味がよくわかるようになります。
ペルオキシターゼ等の酵素が食品中の発がん性物質を抑えます。

明るい表情

咀しゃく筋や表情筋が鍛えられ、言葉や表情が生き生きします。

脳が活性化

脳の血流が活発になり、反射神経や記憶力、集中力などが高まります。
寝たきりや認知症の予防にもつながります。

よくかむと、唾液でうるおう

唾液は1日に、1.5~2リットル分泌されますが、よくかむ習慣がなくなると減少します。
現代人は、唾液が減少気味と言われています。

唾液をたくさん出すために

ポイント1よくかみましょう
しっかりかんで、顎や舌の筋肉を動かすことが、唾液の分秘を促進します。
ガムをかむ習慣は唾液分泌を促すとともに、むし歯予防にも効果的です。
ポイント2唾液腺のマッサージをしましょう
顎下腺、舌下腺は、親指を顎の骨の内側の柔らかい部分に当て、耳の下から顎の下まで5回ずつ順番に押します。(各5回)
耳下腺は、指全体で耳の前、上の奥歯の辺りを後ろから前に円を描きます。(10回)

かむバランスとアンチエイジング

からだの中で一番上にある頭の位置が狂うと、からだ全体に大きな影響を与えます。
自分の歯で左右バランスよくかむことは、正しい姿勢を保つためにとても大切です。
一般的に高齢になると、筋力が低下するため、転倒・骨折の機会が増えますのでバランスよくかむことは、とても重要です。筋力アップ、かむバランスを意識してみましょう。

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