「職域口腔保健活動における咀嚼能力検査の試み 第2報 食べ方指導との関連」を日本歯科衛生学会で発表しました

協会関連

日本歯科衛生学会第16回学術大会は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を考え、2021年9月18日~30日にWeb開催形式(オンデマンド配信)、研究討論会のみLIVE配信で開催されました。

詳細は日本歯科衛生会HPへ

 

演題「職域口腔保健活動における咀嚼能力検査の試み 第2報 食べ方指導との関連」のご紹介

職域口腔保健指導では口腔衛生管理への支援が中心となっていますが、口腔機能の低下傾向が20歳代、30歳代の若年層にも一定数いることが前回調査からわかり、支援方法を検討しています。(2019年ポスター発表「職域口腔保健活動における咀嚼能力検査の試み」はこちら)今回は、食べ方に関する指導を実施することが、よく噛んで食べることへの動機づけや口腔機能への関心を高めることが示唆されましたので、ご報告します。

 

目的

特定健診の質問票に咀嚼に関する質問項目が設定され、職域口腔保健活動においても口腔衛生管理に加え口腔機能に着目した支援の必要性が高まっている。前回は、質問項目の「何でも噛んで食べることができる」と回答した者に対し、咀嚼能力検査システムによる咀嚼能力判定レベルでは「よく噛めている+噛めている」者の割合が低く、本人の意識と検査結果に違いがあることを報告した。今回は、継続参加者に対し、咀嚼能力検査と併せて食べ方に関する指導を行い、若干の知見を得たので報告する。

 

対象および方法

調査対象者は、同一事業所において、2019年度、2020年度に継続して職域口腔保健活動に参加し、咀嚼能力検査と食べ方に関する指導を受けた者43名とした。

 

咀嚼能力の判定は、咀嚼能力検査システム(グルコセンサーGS-Ⅱ(R))を用いて分類し、「噛む力が低下している」、「噛む力がやや低下している」、「噛めている」、「よく噛めている」の4分類とし、併せて、食べ方に関する質問紙への回答をもとに指導を行った。

 

結果および考察

咀嚼能力検査の結果は、「噛む力が低下している+やや低下している」が2019年39.5%、2020年度23.3%、「噛めている+よく噛めている」が2019年度60.5%、2020年度76.7%であり、2019年度に比べ、2020年度において咀嚼能力の向上が認められた。

 

次に噛むことについての質問紙への回答結果で、2019年度と2020年度の比較すると、「食事の時によく噛むように意識していますか」という質問に対して、「よく噛む」と回答した者が2.3ポイント増加した。

 

「噛みにくいことがありますか」という質問に対して、「噛みにくいことがある」と回答した者が2.3ポイント増加した。

 

「人と比較して食べる速度が速い」という質問に対して、「速い」と回答した者が2.3ポイント減少し、3項目ともあまり変化が認められなかった。

 

また、食べ方に関する質問項目では、2019年度に比べ2020年度において食品摂取多様性スコアが増加し、食生活改善への動機づけになることが認められた。

 

結論

今回の調査結果から、職域成人に対する咀嚼能力検査は、よく噛んで食べることへの動機づけに有効であり、併せて、食べ方の指導を行うことが食品の摂取状況等への関心を高め、食生活改善に寄与することが示唆された。

 

以上です。最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

お問い合わせ:日本口腔保健協会東京事業部   ☎03-3818-4158(担当 大和田)

 

当協会では今後も成人期からの咀嚼に関するサポートをしてまいります!

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