「健口チャンネルⅡ」                       5月31日は世界禁煙デー「Commit to quit:禁煙しよう」

健康情報

世界禁煙デーはWHO (世界保健機関)が制定した禁煙を推進するための記念日です。
日本でも、厚生労働省が5月31日から6月6日までの1週間を禁煙週間と定め、今年のテーマは、「たばこの健康影響を知ろう!~新型コロナウイルス感染症とたばこの関係~ 」です。

 

喫煙と新型コロナウイルス感染との関係

喫煙者は重症化しやすく、死亡リスクが高まる

重症化しやすい主な理由は、
①ニコチンなどの有害物質の影響で免疫力が落ちる
②肺胞が破壊され続けると、閉そく性性肺疾患(COPD)になる

そして、肺の機能が低下すると回復することが難しく、過去に喫煙していた人でも新型コロナウイルス感染症が重症化しやすくなると言われています。

参考:米医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」の報告より

 

喫煙者の口腔や肺粘膜は、ウイルスが侵入しやすい状態です!

新型コロナウイルスは、「ACE2」と呼ばれる特定のたんぱく質に取りつき侵入します。喫煙者の肺では、ACE2の働きが活発化し、「侵入するための取っ手」がたくさんあるため感染しやすいのでは、と言われています。

 

喫煙所のリスク~喫煙室は濃厚接触の場~

新型コロナウイルスへの感染を防ぐため、「三つの密(密閉、密集、密接)」を避けるべきとされていますが、密閉された喫煙所には多くの人が集まり、近い距離での会話を生みやすいといったリスクがあります。また、喫煙する際には、マスクをはずすため感染リスクが高くなります。

 

 

喫煙と歯周病の関係

喫煙者は非喫煙者に比べて歯周病にかかりやすく、重症化しやすいことがわかっています。口腔は、からだの中で最初に喫煙の影響を受ける部分です。たばこの煙や成分は、口腔に入ると粘膜や歯ぐきから吸収されます。吸収されたたばこの有害物質は、血管を収縮し、歯ぐきの血流量を減少させます。

「NHANES Ⅲ:Tomaer&Asma,2000」より

 

禁煙のメリット

喫煙は数本であっても健康被害は大きいので、失敗しても再チャレンジしましょう。禁煙の効果は、開始後20分から「血圧や脈拍が正常になる」「末梢血管の血流がよくなる」など、はっきり表れます。さらに継続することで、「痰が出なくなる」「呼吸が楽になる」「味覚が正常になる」など次々に健康が自覚できるようになります。

禁煙の効果

参考:厚生労働省e₋ヘルスネット「禁煙の効果」より

 

禁煙するために

~喫煙は「ニコチン依存症」という病気です。治療を考えることが確実な方法です~

健康保険を使って禁煙治療を受けられる「禁煙外来」について

「禁煙外来」は、タバコをやめたい人を対象に「禁煙治療」を行う専門外来です。
医師が喫煙状況を把握したうえで、禁煙補助薬の処方やサポートを行うため、禁煙に成功しやすくなります。
また、ニコチン依存症は“治療が必要な病気”であるという認識から、一定の条件を満たせば、健康保険を使って禁煙治療を受けられます。2020年4月からは、「紙巻たばこ」に加えて、「加熱式たばこ」も禁煙治療の対象になりました。

禁煙治療の一部はオンライン診療も可能

健康保険が適用される標準的な禁煙治療は、

12週間に5回通院する「対面診療」

12週間に1回目と5回目に通院し、2~4回目はスマートフォンやパソコンなどを用いたビデオ通信での「オンライン診療」

参考:厚生労働省e₋ヘルスネット「禁煙支援」より

 

禁煙補助薬の使用で禁煙を続けやすい

医療機関の禁煙治療では、医師が処方する「禁煙補助薬」を使用することができるため、「タバコが吸いたい」「イライラする」などさまざまな離脱症状(禁断症状)を緩和しながら禁煙することができます。
健康保険が使える禁煙補助薬には、ニコチンを皮膚から吸収させる貼り薬「ニコチンパッチ(医療用)」、ニコチンを含まない飲み薬「バレニクリン」があります。

健康保険による禁煙治療とタバコ代の比較(いずれも12週分の費用)

*保険による禁煙治療の自己負担は3割として計算
*ニコチンパッチは8週間、バレニクリンは12週間の標準使用として費用を算出

参考:厚生労働省 禁煙支援マニュアル(第二版)増補改訂版より

 

「禁煙外来」で2人に1人が禁煙に成功

禁煙治療の計5回のプログラムを終了した人のうち、約5割が禁煙に成功しています。継続しやすい「禁煙外来」を利用して、ぜひ禁煙にチャレンジしてみましょう。
健康保険が適用される禁煙治療を受けたいときは、下記のホームページを活用しましょう。

全国禁煙外来・禁煙クリニック一覧

一般社団法人 日本禁煙学会が運営するホームページに、全国の「禁煙治療に保険が使える医療機関」の情報が掲載されています。
http://www.nosmoke55.jp/nicotine/clinic.html

 

新型コロナウイルスに負けないためにも、禁煙にチャレンジしましょう!

 

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