日本歯科衛生学会でポスター発表をしました

レポート

2018年9月15日~17日に福岡国際会議場において、日本歯科衛生学会第13回学術大会が開催されました。
大会テーマ「口から食べる倖せの追求」
詳細は、日本歯科衛生士会HPへ


日本口腔保健協会では、
「職域歯科保健活動における口腔細菌数測定の活用効果(第2報)ー継続実施の試みー」という題目で、ポスター発表をいたしました。
発表内容をご紹介いたします。

目的

職域歯科保健活動においては、口腔の健康増進を目的としたセルフケア向上のために保健指導が重要であり、動機づけの1つとして、口腔細菌数測定(以下、「細菌数測定」という。)を実施している。第1報では、職域成人において細菌数測定の結果は、レベル5「やや不良群」の者が多く、レベル1~4「良好群」の者には、進行した歯周病の者(歯周ポケット4mm以上)が少ないことを報告した。今回は、細菌数測定を継続した者の細菌数測定レベルおよび口腔清掃習慣を調べ、併せて、アンケートによる意識調査を行い、細菌数測定の活用効果について若干の知見を得たので報告する。

対象および方法

調査対象者

職域歯科保健活動の参加者のうち、2016年と2017年に継続して細菌数測定を実施したA健保組合の男性392名とした。(表1)

倫理的配慮として、班研究は同意が得られた健康保険組から匿名化したデータの提供を受け、これを分析に用いた。

調査項目

1.細菌数測定レベル

「良好群」「やや不良群」「不良群」の3つに分類

2.口腔清掃習慣

①歯みがき:1日2回以上

②歯間部清掃:デンタルフロス、歯間ブラシ使用(1回以上/週)

③洗口液使用:洗口液使用(1回以上/週)

④舌ケア:舌清掃(1回以上/週)

3.細菌数測定実施後アンケート

①前回(2016年度)うけてから実行した保健行動

②口腔ケアの重要性

③次回の実施希望

調査方法

1.細菌数測定レベル

口腔細菌数測定装置「細菌カウンタ」(PHCホールディング株式会社)を使用し、採取方法は綿棒を用いて舌背中央部から検体を採取し、レベル1~4を「良好群」レベル5を「やや不良群」レベル6~7を「不良群」とし、3つに分類した。



2.口腔清掃習慣

歯みがき回数、歯間部清掃、洗口液使用、舌ケアについて、直接本人から聞き取り記録した。

3.細菌数測定実施後アンケート

細菌数測定後に、自記式質問紙で調べた。

 

結果および考察

1.細菌数測定レベル

2017年において、良好群は24.2%⇒29.6%と増加し、やや不良群および不良群は、それぞれ42.6%⇒39.8%、33.2%⇒30.6%と減少した。(図1)

2.口腔清掃習慣

この1年間で実行した保健行動は、「歯みがき」は86.0%⇒87.0%「歯間部清掃」は45.8%⇒50.9%「洗口液使用」は42.6%⇒50.0%「舌ケア」は21.6%⇒32.6%増加した。特に「舌ケア」と「洗口液使用」において増加率が高かった。(図2)

3.細菌数測定実施後アンケート

①前回受けてから実行した保健行動は、「歯みがき方法の見直し」が36.9%と最も高く、次いで「舌ケアの習慣」が30.2%「薬用洗口液の習慣」が29.4%「デンタルフロスや歯間ブラシの習慣」28.4%「歯科医院への受診」14.7%であった。
②細菌数測定は口腔ケアの重要性の認識に役に立ったと回答した者は、96.3%であった。

③次回も口腔数測定を希望すると回答した者は、97.4%であった。(図3)


以上のことから、口腔細菌数測定を活用したことにより、口腔の健康に対する関心が高まり、セルフケアの見直し等の口腔保健行動の動機づけになったと推測される。

結論

今回の調査結果から、職場歯科保健活動の参加者に対して継続的に口腔細菌数測定を実施することは、細菌数測定レベルの改善および個人の口腔状況に応じた口腔清掃習慣改善への動機づけとして効果的であることが確認できた。これらのことから、今後も、職域歯科保健活動参加者の口腔環境改善に有効な動機づけとして細菌数測定を活用し、歯科保健活動の充実を図りたい。

以上です。

貴重なお時間を割き、お読みくださいましてありがとうございました。

お問い合わせ:日本口腔保健協会東京事業部
水口 03-3818-4158

 

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